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適応障害になってから職場復帰を果たしたものの、「やっぱり無理だったかも…」「こんなはずじゃなかった!」と壁にぶち当たった経験がある方もいるのではないでしょうか。
また、これから復帰するにあたって、何とか穏やかに波風立てずに戻りたいと願っている方も多いでしょう。
ですが、個人的には現実問題として完全に無風で戻るのは難しいというのが正直なところです。

実際に適応障害から復職した私も、職場と自分のギャップに悩みました。結果的に「復職してもやっぱり無理だったな」という結論に至り、長く勤めた職場を退職しています。
今回の記事では、適応障害から復職した後に「無理だ!」と感じたことや、ミスマッチをできるだけ防ぐために復職前にできることを書いていきます。
復職後に「無理だ!」と感じたポイント

引用:iStock
復職してしばらくは夢中だったので気になりませんでした。が、だんだん慣れてきて周りが見えるようになってきた頃に、堰を切ったように「あれ?無理かも…」と感じ始めた覚えがあります。
私が感じたのは、下記の3つ。
- 周りとの間に微妙な壁を感じて気まずく、再発への不安がぬぐえない
- 復職前に話し合ったはずなのに、なし崩しで業務量が戻されていく違和感
- 職場から一度離れたことで、歪んだ職場体制を冷静に見てしまう

今だから笑い話になりますが、当時は結構きつかったです。読んでいて不安になっちゃったらすみません…。
ただ、適応障害からの復職(退職)経験者としてうそはつきたくないので、私が感じたありのままを書かせていただいています。

それぞれ、もう少し具体的に掘り下げてみましょう。
気まずさの正体は「お互いの不慣れ」

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まず1つ目。「周りとの間に微妙な壁を感じて気まずく、再発への不安がぬぐえない」というのは、休職した人を迎える職場の人との「気まずさ」に起因するものです。
見出しにもあるように、気まずさは「お互いの不慣れ」が引き起こすもの。つまりは、適応障害を含むメンタル疾患への理解がまだまだ一般化していないことが原因といえます。
最近は芸能人が適応障害を公表したり、活動休止して療養に専念したりと、情報としてはかなりメジャーになってきています。しかし、実際にそれが自分の身や同僚・部下の身に起きたとしたら話は別。どう対応していいか、正解が分かる人はあまりいないと言って良い状況です。

そんな中で復帰すると、お互いにどう対応して良いか自信が持てず、何となく壁を作ったまま日々の業務が進んでいきます。
休職していた側からすると、自分から積極的に業務を請け負うのには不安が大きい。職場の人側からすると、何を任せて良いか分からないし、下手に仕事を振って失敗されたり、最悪再発でもさせたりしたら大変…と、さらに及び腰になります。
お互いが腫れ物扱いになるため、どうしても気まずさは残ります。時間が解決するとはいえ、解決のときまで待てずに再発する可能性も否定できません。職場に溶け込むのが先か、気まずさに耐え切れず再発するのが先かという、究極の二択を味わう時期もあるのです。
ちなみに、私は気まずさを乗り越えて普通に会話して仕事もできるまで戻れましたが、結論として再発の末2度目の休職に入り、そのまま退職しています。
気まずさを克服した後に対処しなければならないのが、次の「業務量の壁」です。
「復職の認識」が違うと業務量がミスマッチする?

引用:iStock
気まずさを克服すると、周りも安心して仕事のパートナーとして普通に扱ってくれます。それは患者自身も望んでいたことですが、実はここにも大きな落とし穴があります。
それは、「復職の基準が患者(主治医)と職場の人で違う」ということです。
患者や主治医からすると、復職の基準は下記の3つのポイントを確実にクリアしている状態を指します。これは私の主治医から提示されたもので、公式に設定されている条件ではありません。ただ、私自身はすごく納得できたので書かせていただいています。
- 睡眠と覚醒のバランスが取れている
- 仕事以外の日常生活が何の問題もなくできる
- 「そろそろ働きたい」と自然に思える
休職中を適切に過ごしていれば、この3つのポイントは自然にクリアできてくるものです。
休職中の過ごし方については、こちらの記事でもくわしく書いています。
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ここで注目したいのが2つ目のポイント。「仕事以外の日常生活が何の問題もなくできる」です。
そう。「仕事以外」なんですね。仕事ができるかどうかは二の次。

しかし、職場の人は「復職できる=今まで通りに働ける」という認識でいることも多いです。もちろん、復職してすぐバリバリやらせようとはしません。ただ、数週間経てば元通りで、休職前と同じ業務量をこなせるまで回復したと思っていることも少なくないようです。
要するに、職場から求められているレベルと自分が考えるレベルが違ってしまい、いざ働き始めてからお互いに「こんなはずではなかった!」とミスマッチが起きてしまいます。
私はなし崩しでどんどん業務量が増やされ、元通りどころか休職前よりも増えてしまう始末。そこに通院も加わるので、いつの間にかさらに忙しくなるという事態になりました。
いろいろと仕事に対する考え方を改め、1年程度はうまくいっていたんですけども。復職後の仕事術については、こちらの記事でもくわしく書いています。
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ただ、一度引き受けてしまった仕事を「やっぱり無理です」とは言いにくく、何とかこなしているうちに喉の詰まり感や動悸などの症状が再燃してしまい、2度目の休職に突入。決定的に「やっぱり無理だった」となって、そのまま退職しました。
一度離れると余計なものが見えてしまう?

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休職で一度職場の輪から外れ、自分のためだけに生きる時間を経験したことによって、今まで見えなかった(見て見ぬふりをしていた)職場の歪みに気づいてしまうこともあります。
職場の内側にいて無我夢中でキャリアを積んでいたときは気づかなくても、いったん外側に出て冷静に見ると「何だこりゃ?」と思うような構造が見えてしまうんですね。
私の場合もいろいろ見えてしまって興醒めというか…。「何でこんな職場にしがみつこうとしていたのか分からん」って心境になりました(笑)。
- 復職時に必死に謝った上司は、さらに上の上司の言いなりで頼りにならない
- ちょっと抜けてて周りにすぐ助けてもらえる、甘え上手な後輩の方がたくさんチャンスをもらえる
- 頑張って取得した資格を活かした業務をしたいと言っても「金にならない」と却下
- 職場の人数に見合わない成果を要求されるが、上司は「管理職だから」と業務にノータッチ
- 給料以外の魅力がない
給料以外の魅力g

読んでて気分悪くなったらごめんなさいね!!でも、これ夢中で働いているときはあまり気にならなかったんですよ。悪い意味で、職場に染まっていたんでしょうね。こう見ると、一度離れて冷静に見られたのはかえって良かったと思います。
同じような状況の中で負けずに立派なキャリアを積んでいく人も大勢います。ただ、私には無理だったというだけの話です。
でも、それってすごく大事じゃないですか?他人ができるから何だっていうんですか。自分自身が望まない生き方・働き方をして、心身を傷つけるようなことはしないに限ります。
休職しなければ、私は今でもあの職場にいて、もっと大変な目にあっていたかもしれません。今の穏やかな日々があるのは、適応障害になって休職したおかげです。大変だったけど収穫はあったと思っています。
復職後の「無理だった」を減らすためにできること

引用:iStock
本当は勇気づけられるような明るいことを書きたいのですが、経験からいってやはりきれいごとでは済まないと思います。復職するということはとても大変な決断ですし、自分自身にとっても大きな挑戦です。
そんな中で、できるだけ波風立てずに復職するには、休職中にしっかりと準備しておくことが必要といえます。ここでは、休職中にやっておくべき準備を解説します。
ちゃんと病院に通う

引用:iStock
まずは、指定された頻度できちんと病院やクリニックに通って診察を受けましょう。
家から出るのもつらいという人もいるかもしれませんが、診察は非常に大事です。医師に「最近どうですか?」と聞かれて話しているうちに、ちょっとした違和感に気づいたり、逆に回復の兆しがはっきり見えてきたりと、家にこもっているだけでは分からない変化を感じられます。
特に「復職したい」と思っている場合は、しっかり診察を受けて自分の状態を客観的に判断してもらいましょう。
また、処方された薬も用法・用量を守ってきちんと飲みます。必要だから処方されているものなので、飲み忘れのないように管理しながら飲むことで、回復もより早まります。単なる風邪薬とは違うので、自己判断で中止しないことが大切です。

復職後も通院を欠かさず、心や体の変化を見逃さないようにしましょう。
カウンセリングを受ける

引用:iStock
通院時には、カウンセリングもセットで受けることが重要です。
適応障害の治療において、カウンセリングは「認知行動療法」のひとつとして位置づけられており、非常に重要なプロセスとされています。
ストレスの受け止め方には人それぞれのパターンがあり、その人の受け止め方を見極めつつ、うまく対処できるように考え方や行動変容を促していくものです。
適応障害は何らかのストレス要因にさらされ続けたことが原因とされています。そのため、ストレスとの付き合い方を学んで上手に対処できるようになることは、症状の改善だけでなく、再発予防にも大きく役立つ効果が期待できます。
私自身、カウンセリングを通して自分自身を客観的に見られるようになってすごく楽になりました。臨床心理士さんも波長が合う方に会えたので、診察よりもカウンセリング目当てで欠かさず通っていたほどです。
ちょっとした愚痴のような内容からも、プロの臨床心理士さんは心の動きやパターン、隠れた思惑まで上手に引っ張り出してくれます。たまにクリティカルヒットを受けて「う~…」っとなりますが(笑)、それはそれで良い気づきです。
休職中は自分のためだけに使える時間なので、じっくり向き合ってみるのをおすすめします。
また、復職後もカウンセリングは重要です。明らかに環境が変化しているので、カウンセリングを受けて状況や心の中の整理を手伝ってもらいましょう。
参考:医療法人社団TLC医療会 ブレインケアクリニック「適応障害」
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産業医や上司とよく話し合う

引用:iStock
産業医や上司との面談は復職に向けて必要不可欠なプロセスです。ここで自分の状態や復職後のプランをきちんと提示しておきましょう。
長く休んだ分言いにくいこともあるかもしれませんが、ここで言いなりになって復職するとろくなことになりません。特に上司との面談では、職場の状況と自分の希望の妥協点をしっかりすり合わせておくことが重要です。
自分ではどうしても言いにくい、上司の性格からして話を聞いてくれなさそうという場合は、主治医に相談して復職の診断書に一言添えてもらうと良いでしょう。
「電話など対外的な業務は、本人と相談のうえで徐々に再開する」とか「復職後も2週間に1度のペースで通院加療が必要」とか、できるだけ具体的に書いてもらっても良いかもしれません。
大事なのは、完全に回復したわけではなく、まだ治療の途中であることを明記してもらうことです。治ったから復職するのではなく、治療の一環として社会復帰するということを前面に出した方が良いです。
もちろん、だからといって「病人なんで」というマインドを押し出して楽しようとは考えません。できることは一生懸命やるけれど、完全復活ではないことを分かっていてもらわないときついということです。
そこがいわゆる「妥協点」ということですね。私のように、なし崩しに元通りにされてしまうこともありますが、最初が肝心!主治医など協力してもらえる人には協力してもらい、できる限り無理のない復職を目指しましょう。
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まとめ
復職後に「無理だったかも」と思う要因としては、職場の人との心理的な距離を感じたり、業務に関するミスマッチが重なったりすることが挙げられます。復職前のコミュニケーションを丁寧に行ったり、通院を欠かさずきちんと治療を行っておくことが必要です。
復職後も同じで、自分のケアをしつつ、周りとの距離を徐々に近づけていくことで、気まずさを克服して少しずつ溶け込んでいけるようになります。
ただ、職場の状態を冷静に見たとき、違和感や構造の歪みに気づいてしまった場合は、適応障害を抜きにしても長くとどまらない方が良いこともあります。
私は違和感がぬぐえずに退職しましたが、その後はWEBライターと学校給食パートでストレスなく暮らせるようになりました。思い切って退職した先にも道が開けていることもあるので、自分にとって最良の選択を探してみてくださいね。
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